おのぼり音楽紀行

ヴァイオリンと共にフランスに滞在。ゆるりと日々のこと、思ったことを書き記します。

La parola

今日で、マーラーのリハーサルが終了しました。

今回弾いてるのは、マーラーが生前最後に完成した第9番の交響曲です。

この交響曲は1909年に完成しており、間違いなく20世紀初頭の代表作です。

マーラーの交響曲にはそれぞれテーマがあり、この作品は「死」をテーマに書かれているんだとか。

 

youtu.be

 

以前マーラーの作品は第2番の交響曲だけ弾くチャンスがありましたが、前回も今回もとにかく長い。

どちらも全曲通すだけで約90分。

そして技術的に本当に難しい。

正直、今自分のソロのために練習してる曲より遥かに難しいです。

編成も普段のオケよりも倍以上の編成。 

合わせるだけでも本当に大変。

 

でも!!!!!

本当に涙が滲むくらいに綺麗な曲です。

人の心をここまで掴める曲はなかなか無いんじゃないかと思います。

「死」そのものより、私にとっては「あの世」の存在を連想させる曲です。

ぞっとするような綺麗さてなかなか無いと思うのですが、マーラーの綺麗さには背筋がぞくっと凍るような冷たさと怖さがあるように感じます。

さらに俗世の音楽とは思えない、愛に満ち溢れた美しい瞬間も。

マーラーの世界観てすごいなていつも感銘させられるばかり。

 

1ミリでもこの世界観に近づければと思うのですが、今回弾くにあたって私の圧倒的な勉強不足は、楽語。

楽譜にある、たくさんの注文をマーラーはイタリア語でなく、ドイツ語で書いているのです。

例えば、最後の小節にはersterbend(死に絶えるように)と書いてあったり。

私自身ドイツ語は大学のときにあっさり挫折したので、全く分からないまま。

実はスイスに来てから、イタリア語をちょっとずつ勉強し始めていますが、面白いのは楽語がそのまま生きた言語になってること。

フォルテやピアノなどの強弱記号ですら、それぞれ言葉の背景があって、やっとそういう意味なんだって理解し始めています。

私の恩師の一人が「言葉はその国の1番の文化だからね」と仰っていたのを、年々強く感じます。

だからマーラーはきっと細かなニュアンスを伝えたかったのだろうけど、悲しいぐらいに読み飛ばしています。

ごめんなさい、マーラー。

 

でも明日は、なかなか弾く機会もないであろうマーラーの本番に全力で挑みたいと思います。

いいコンサートになりますように!

 

La parola:言葉(単語)

La lingua:言語

Il linguaggio:言葉使い、語法