今回はちょっと風変わりなヴァイオリニストを紹介したいと思う。
ロビー・ラカトシュ(Roby Lakatos)である。
Sをシュと発音するあたりからご想像つくと思うが、ハンガリーのブダペスト出身。
一度見たら忘れられない風貌である。
以下Wikipedia より
ロビー・ラカトシュは、ハンガリーの男性ヴァイオリニスト・作曲家。ハンガリーに古くから伝わるロマ音楽をベースとし、ジャズやクラシックの要素も取り入れた独特の音楽スタイルで、その素晴らしい技術から「超絶技巧」などと評される。
ちなみにバイオリンの弦をプロデュースしちゃったりもしている。
ハンガリー出身だが、今はベルギーにお住まいで、風の噂によると、かの素晴らしいベルギーが輩出した名バイオリニスト、ウジェーヌ・イザイ(Eugène Ysayë) の住んでた家の近くに住んでいるとか、いないとか。
元々、私はこの人のことを欠片も知らなかった。
彼のことを知るきっかけは以前ブログに書いた、大学の時の恩師からだった。
(恩師についての記事はこちらから)
kasumiviolino.hatenablog.com
彼女は時々とてつもない出会いとか色々と引き寄せる体質を持っていらっしゃる。
そんな彼女、ある時移動している際に偶然目立ちまくってるラカトシュを見かけたらしい。
で、すかさず大ファンだったという彼女は勇気を持って話しかけたそうな。
そしたら面白いことに「今からバーに弾きに行くんだけど、君も来ない?」という流れになり、一緒に飲みつつ彼からバイオリンを習ったとのだとか。
出会いて面白い。
そんな出会いがあったことを彼女はすかさず私に話してくれたが、私はその後特にラカトシュのことをググることすらしなかった。
しかし私がベルギーを離れるという時に「ベルギーを離れる前にラカトシュ見といたら?」という恩師からのメールをもらい、ようやく調べた。
すると、なんとブリュッセルの小さな箱での演奏会を発見。
こうして何年も経って初めて、私は彼の演奏を聴くことになった。
キング・オブ・ジプシー・ヴァイオリン ラカトシュ・アンサンブル①
その夜はジャズの即興での演奏で、ピアノ・コントラバス・ヴァイオリン2台の編成で、ラカトシュは音色もセンスも超絶技巧もとにかく度肝を抜くぐらい、素晴らしかった。
ヴァイオリンといえば、超絶技巧ができるのも一つの魅力だが、彼の超絶技巧は聴衆の心をウキウキさせつつも、どこか温かみを感じられた。
人を凍りつかせるような超絶技巧も一つの魅力のあり方だろうが、私がこの夜に聞いたラカトシュの演奏は決してそんなものではなかった。
そしてさらに凄いのが、ラカトシュの使ってる楽器はかの名器ストラディヴァリウスなのだ。
本番後私はラカトシュに話しかけてみると、これまた想像以上に上品なおじ様であった。
見た目だけではもっと陽気なイタリア人みたいな人を想像していたので驚いたが、演奏を聴いた後だったので人格者なんだろうなと妙に納得した。
本当に良い夜だったことを今でも覚えている。
時間のある方はぜひ彼の演奏を聴いてほしい。
Fire Dance
ラカトシュ with ミュージカル・フレンズ
ラ・パッション ~ ライヴ・アット・シドニー・オペラ・ハウス (La Passion ~ Live at Sydney Opera House / Roby Lakatos & Ensemble) [2SACD Hybrid] [輸入盤]